■「おまかせで大丈夫です」が生むすれ違い 保育園や幼稚園のホームページ制作では、打ち合わせの際に「デザインはおまかせで大丈夫です!」という言葉をよく耳にします。一見スムーズに進みそうですが、実はこれが後々のすれ違いやトラブルにつながることもあります。 「おまかせでいい」と言っていたのに、完成したホームページを見て「思っていた雰囲気と違った」「もっと柔らかい印象にしたかった」と感じてしまう──。その原因の多くは、制作前の“イメージ共有”が十分でなかったことにあります。 “おまかせ”という言葉は、制作者にとっては「方向性を自由に決めていい」というサインに聞こえます。一方で依頼側にとっては「プロが良い感じにまとめてくれるだろう」という期待。この小さな認識のズレが、のちに「なんか違う…」という結果を生みやすいのです。 ■“おまかせ”がうまくいかない理由 「おまかせ」とは、いわば“基準を相手に委ねる”こと。ところがホームページ制作には、明確な正解がありません。“かわいい”も“明るい”も人によってイメージが違うため、共有がないまま進めると、制作側と依頼側の間に小さなズレが生まれてしまいます。そのズレが積み重なると、最終的なデザインや構成の方向性に差が出てしまうのです。 また、もうひとつの落とし穴が「途中での方向転換」。当初は「おまかせでOK」と言っていたのに、制作が進むにつれ「やっぱりこの色が好き」「このイラストをメインにしたい」など、好みを反映させたくなるケースは少なくありません。もちろん意見を出してもらうことは大歓迎ですが、途中から大きく方向を変えると、デザインの統一感が崩れたり、公開時期が遅れてしまったりすることもあります。 実際、「一度完成したトップページの雰囲気を全体的に変えたい」となると、他のページのレイアウトもすべて見直しが必要になることも。このように“おまかせ”スタートは、一見楽に見えて、後から余計に時間と労力がかかってしまうことが多いのです。 ■伝えることは“指示”ではなく“共有” とはいえ、「デザインのことはよくわからないから、おまかせしたい」という気持ちは当然です。ですが、制作において大切なのは、“細かい指示を出すこと”ではなく、“目的を共有すること”です。 たとえば、 「保護者に安心感を持ってもらいたい」 「職員募集ページを見て応募が増えるようにしたい」 「園の雰囲気を温かく伝えたい」 といった目的や方向性を最初に共有してもらえるだけで、制作側の提案の質がぐっと上がります。 また、「この写真の雰囲気が好き」「このサイトの色づかいが良い」といった参考イメージをいくつか見せていただくのも効果的です。言葉だけでは伝わりにくい「感覚」を、視覚的に共有できるため、完成形のズレが少なくなります。 結果的に、後から「やっぱり違うかも…」という修正も減り、統一感のあるホームページに仕上がります。 これは、保育園や幼稚園のホームページ制作だけでなく、企業サイトや採用サイトでも同じ。“おまかせ”をやめて“共有型の打ち合わせ”にするだけで、仕上がりの完成度は格段に上がります。 ■“任せる”と“おまかせ”は似て非なるもの “おまかせ”と“任せる”は似ているようで、実はまったく違います。おまかせ=「すべてを委ねる」任せる=「目的と方向性を伝えた上で信頼して託す」 この違いを理解しておくだけで、制作の進行も仕上がりも大きく変わります。制作会社は、園の想いを形にするパートナーです。「どう見せたいか」「誰に届けたいか」――その部分を共有してもらうだけで、デザインの解釈がより深まり、園の魅力がより伝わるサイトになります。 保育園・幼稚園ホームページ制作で失敗しないためのポイントは、“おまかせ”ではなく“任せられるパートナーシップ”を築くこと。最初の打ち合わせで少しでもイメージを共有しておけば、完成までの流れもスムーズになり、納得度の高いホームページに仕上がります。 ■最後に 「おまかせ」は便利な言葉ですが、実はサイト制作を難しくする“落とし穴”のひとつです。言葉にするのが難しいイメージも、方向性や目的を共有するだけでぐっと形になりやすくなります。信頼して任せることと、すべてをおまかせすることの違いを意識しながら、園の想いが伝わるサイトを一緒に作っていきましょう。