■全部自分で更新できる保育園・幼稚園のホームページ、実は落とし穴も
保育園や幼稚園のホームページ制作において、「すべてのページを自分たちで更新できるようにしてほしい」というご希望をいただくことがよくあります。行事のお知らせ、入園案内、園だよりなど、情報発信の機会が多い業種だからこそ、自分たちで素早く対応したいという思いはよくわかります
でも、私たちはこの要望を受けたとき、必ず一度立ち止まって確認するようにしています。「全部自分で更新、本当に必要ですか?」と。
なぜなら、実際に“全部”自分で更新している方って、あまり多くないからです。そして、更新できる状態にするために犠牲にしなければならないものが、意外と多いのです。
もちろん、自社でニュースやブログを投稿したり、採用情報をアップデートしたりといった基本的な更新機能は非常に大事です。ただし、すべてのコンテンツにその機能を持たせる必要があるのかというと、少し話は変わってきます。「全部更新できるホームページ」が理想のように思えて、いざ運用を始めてみると「そこまで自分たちでやる必要なかったかも」と感じるケースも少なくありません。
このブログでは、「保育園・幼稚園のホームページ制作で本当に必要な更新箇所はどこか?」を見直しながら、デザイン性と運用性のバランスを取る方法をお伝えします。制作後に後悔しないための視点として、ぜひ参考にしてください。
■更新できる範囲が広いと、保育園・幼稚園の魅力を伝えづらくなる
ホームページを全部更新できるようにするためには、当然ながら「どこをどう変えるのか?」という設計を、あらかじめ定めておく必要があります。そして、その多くはテンプレート的な構造で対応することになります。たとえば「この文章は○文字まで」「この画像は横長」「このセクションはこの順番で並ぶ」などといったように、更新のしやすさを重視した枠組みを用意するわけです。
この“テンプレート化”は、更新性を担保する代わりに、デザインの自由度を削いでしまうという側面があります。たとえば、本来であればデザイナーがビジュアルと構成を緻密に調整して仕上げたレイアウトでも、「更新が入る可能性があるから」という理由で汎用的な構造に落とし込まれてしまい、結果として無難な見た目に寄ってしまうのです。
もちろん、シンプルなデザインが悪いわけではありません。ただ、保育園や幼稚園のホームページ制作においては園の雰囲気や教育方針、先生たちの笑顔など「伝えたい空気感」がとても大切です。そういった「魅せ方」に力を入れたいページにおいて、自由な表現ができないのは少しもったいないですよね。
たとえば、園紹介ページや教育方針のセクションなど、あまり更新頻度が高くない部分は固定でしっかりデザインしておき、行事予定やお知らせのような頻繁に変わる情報だけを更新可能にする。そんなバランスの取り方が、見やすくて更新しやすいサイトにつながります。
■実際には「全部は更新しない」「むしろ面倒になる」
「せっかく全部更新できるように作ってもらったのに、全然更新していない…」
そんな声を、公開後しばらく経ってから聞くことがあります。これ、実はかなりよくある話です。
最初は「自分で更新したい!」とやる気満々でも、日々の業務に追われて、結局触らなくなってしまう。特に保育園や幼稚園の先生方は日々の保育や行事準備で多忙。ホームページの更新作業にまで手が回らないことも多いのではないでしょうか。
また、更新できる箇所が多すぎると、それだけ操作手順も増え、心理的なハードルが上がります。「あそこも直さなきゃ」「この説明文も変えないといけないんだった」と、やるべきことが増えてしまい、逆に何も手をつけたくなくなる…というのは、人間らしいリアルな感覚ですよね。
保育園や幼稚園のホームページは、保護者の方や入園希望者との大切な接点です。常に最新の情報を届けることも重要ですが、それ以上に「安心感のあるデザイン」「園らしさが伝わる内容」であることが大切です。すべてを自分たちでやるのではなく、「ここは任せて、ここは自分でやる」と、役割をうまく分けていくことが、実は一番現実的な運用方法です。
■「全部できる」より「うまく任せられる」サイトを目指そう
保育園・幼稚園のホームページ制作では、「全部更新できるサイト」にこだわるよりも、「必要なところをラクに更新できて、あとはしっかりお任せできるサイト」の方が、実際の運用では長続きします。更新の自由度を高めすぎて、結果的に放置されるよりは、本当に必要な更新箇所に絞って、その部分だけを安心して操作できる環境を整える方が、ずっと効果的なサイトになります。
わたしたち制作者の立場から見ても、保育園や幼稚園のように“人のぬくもり”や“現場の雰囲気”を大事にしたいホームページは、デザイン性と構成力がとても重要です。それを支えるのが「更新すべきところ」と「しっかりデザインするところ」を見極めた設計です。
だからこそ、「全部更新できます」ではなく、「必要なところを更新しやすく、必要ないところは任せておける」サイト。これこそが、多くの方にとって現実的で、心地よく長く使っていける形ではないでしょうか。
サイトは“作って終わり”ではなく、“運用して育てていく”もの。だからこそ、無理なく付き合える仕組みづくりがとても大切なのです。ぜひ、「全部できる」ことにこだわるよりも、「安心して任せられる体制」を整えることで、保育園・幼稚園のホームページをもっと良いものに育てていってください。