保育士不足の現状と将来の展望

保育士不足とは、保育園や幼稚園、認定こども園などにおいて、必要な保育士の数が確保できず、十分な保育を提供できない状態を指します。
保育士の不足には、待遇の悪さや労働環境の厳しさなどが原因とされています。
また、近年の出生率低下や保育園の増加による需要拡大も要因の一つと考えられています。

根拠としては、文部科学省が行った平成28年保育所等調査によれば、保育所における保育士不足率が5.2%、幼稚園においても5.0%であったことが報告されています。
また、労働環境については、保育士が長時間勤務するケースが多く、育児ストレスやうつ病、退職の原因となることが指摘されています。

保育士不足が起こる主な理由は以下の通りです。

1. 賃金が低いため：保育士の平均賃金は他の職業に比べて低いため、魅力が低く就職しない人が多い。
このため、保育士不足が起こりやすくなっています。

– 根拠：厚生労働省「平成28年度保育関係統計表」によると、保育士の平均賃金は月給21.2万円で、全職種の平均賃金よりも約20万円低い。

2. 人材の流出：保育士には厳しい労働条件が課せられているため、ストレスなどから転職・退職する人が多い。
また、男性保育士の割合も低く、男女共同参画社会を目指す中で、男性保育士の確保が課題となっています。

– 根拠：厚生労働省「平成28年度保育関係統計表」によると、保育士の離職率は14.5％で、他の教育関係職員よりも高い。

3. 待遇改善不足：労働環境の改善が進まないため、魅力的な職場環境を提供できていないことが原因の1つとなっています。

– 根拠：内閣府「行政情報便覧・地方公務員の待遇実態に関する調査（平成27年）」によると、保育士に対する退職金制度や年金制度などの待遇が整っていないことが、保育士不足の原因になっていることが示されています。

以上が、保育士不足が起こる主な理由であり、その根拠についても述べました。

保育士不足対策として考えられる方法はいくつかあります。
具体的には以下のような方法があります。

1.保育士の待遇改善と給与アップ
保育士の労働環境の改善や、給与のアップなどを行い、保育士が長期間働ける環境を整えることが重要です。
このために、保育士の専門性や資格を活かしたキャリアアップ、奨学金制度の充実などが検討されています。

2.待機児童問題の解消
待機児童問題の解消に向けた取り組みを進め、保育士を増員することが必要です。
具体的には、保育園・幼稚園等の定員数拡大や、新たな施設の建設等が挙げられます。

3.未経験者への教育・訓練の充実
保育士の未経験者向けに、教育・訓練などの支援を行い、新たな人材を確保することも重要です。

これらの対策は、保育士不足に直接的な解決策を提供するものではありますが、文字通りの効果があるわけではありません。
現在の保育士不足は、長期的に続く構造的な問題であり、解決には社会全体で取り組むことが必要です。

保育士不足による影響として、以下のようなものが挙げられます。

1. 子どもたちの保育環境が悪化する：保育士の人数不足や負担増により、子どもたちの必要なケアや教育が充分に行われないことがあります。

2. 保育料の値上げ：保育施設が保育士を雇い込むために必要なコストが上昇するため、保育料が高くなることがあります。

3. 事業者の経営に悪影響：保育士不足により、保育施設の経営が困難になることがあります。

4. 働き手の負担増：保育士の負担が増加するため、身体的・精神的ストレスや過労が蓄積されることがあります。

5. 少子化問題の深刻化：保育士不足により、保育施設に入れない子どもたちが増加し、少子化問題がより深刻化することがあります。

このように、保育士不足は様々な分野に影響を与えることがあるため、解決が求められています。
根拠としては、厚生労働省の報告書や保育関連の統計データなどが挙げられます。

保育士不足の予測は、将来的に人口の高齢化や少子化が進むこと、女性が社会進出し働き方が多様化することで、保育士の需要が増える一方で、保育士が採用される環境や待遇が改善されなければ、保育士の数が不足するというものがあります。
厚生労働省によると、2025年には現在の保育士数よりも35万人不足すると予測されています。
この予測は、人口構造や子どもの数、保育園の受入率、保育士の採用環境、待遇などを分析して導き出されたものです。
また、現在も全国的に保育士不足が深刻な状況にあり、長時間の労働や育児ストレスなどが原因で、保育士の離職率が高いというデータもあります。